Nimbus Day 147

「しかし、これじゃまるで、砂掻きするためにだけ生きているようなものじゃないか!」 「だって、夜逃げするわけにもいきませんしねえ……」 男はますますうろたえる。そんな生活の内側にまで、かかわり合いになるつもりはなかったのだ。 「出来るさ!……簡単じゃないか……しようと思えば、いくらだって出来るよ!」 「そうはいきませんよ……」女は、スコップをつかう動作に呼吸を合わせて、さりげなく、「部落がなんとか、やっていけるのも、私らがこうして、せっせと砂掻きに、せいをだしているおかげなんですからね。。。そりゃ、役場から、日当はもらってはいますけど……」 「そんな金があるくらいなら、なぜもっとちゃんとした防砂林をつくらないんだ?’ 「計算してみたら、やはりこのやり方のほうが、ずっと安上がりらしいんですね……」 (砂の女 by 安部公房) “But this is as if the sole purpose of your life is to plow sand off the house!” “But it’s not like I can do a moonlight flit……” The man became even more flustered. He didn’t mean to get so involved in such private matters. “Of …